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QBハウスが料金を1200円に値上げ。人件費はどれくらい上がっているのか?

 QBハウスが2019年2月1日より、カットの通常料金を1,080円から1,200円に値上げすることを発表しました。理美容業界の人材獲得競争が激化して人件費を押し上げていることが主な理由とのことです。人件費による負担がどれくらい重いものなのか、決算資料をもとに調査しました。

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従業員の給与総額は2割近くアップ。1人あたり給与も上昇か

 今年4月の上場時に公開されたQBハウスの親会社キュービーネットホールディングスの資料を見ると、人件費のうち給与手当に相当する金額が1年で2割近く上がっていることがわかります。

 

 給与手当の総額

  2016年6月期:48.6億円

  2017年6月期:58.1億円(19.6%増)

東京証券取引所「キュービーネットホールディングス 新規上場のための有価証券報告書(Iの部)」

 

 この1年間に従業員数も15%ほど増えているので従業員1人あたりの給与が2割増えたわけではありませんが、従業員の伸び率に対して給与手当総額の伸び率が高いことから、従業員の待遇改善にそれなりのコストをかけていることが推測できます。

 給与手当の増加が会社の経費にどれくらい影響しているかも見てみましょう。会社の経費のほとんどは「売上原価」と「販売管理費」で構成されるので、売上高と販売管理費に占める給与手当の割合を調べました。2016年6月期は32%だったのに対し、2017年6月期は35.4%と3%以上も上昇しており、人件費の増加が与える経費全体へのインパクトは大きく、利益の圧迫要因になっていると考えられます。

 

売上原価・販売管理費に占める給与手当の割合

  2016年6月期:32.0%

  2017年6月期:35.4%

東京証券取引所「キュービーネットホールディングス 新規上場のための有価証券報告書(Iの部)」)より当社算定

 

 以上から、人件費の負担は年10億円近く増えており、従業員の増加だけでなく従業員の給与アップなど待遇改善も行っていること、そしてその施策が経費を増やし、利益圧迫要因になっていることがわかります。

 しかし、キュービーネットホールディングスは直近の決算で営業利益が9.2%(1.39億円)の増益となっており、会社の業績自体は順調といえます。それでも値上げに踏み切る理由はどこにあるのでしょうか。

 

最新の決算では、売上原価がさらに上昇。人件費負担は増加傾向か

 13日に発表された2018年6月期の決算では売上原価と販売管理費の合計額が前年と比べて11億9,800万円増加しており、内訳は公開されていませんがその多くが人件費だろうと推測できます。また、同時に発表した2019年6月期の会社業績予想でも経費が9億円ほど増える見込みとなっており、人件費の負担が今後も増え続けると会社も予想しているようです。人件費の負担増が一過性のものではなく継続していることが、今回の値上げの背景にあると推測できます。

 

人材流動性の高い業界だからこそ積極的に人に投資し、従業員の定着を図っている

 QBハウスは理容業界を離れた理美容師や資格はあるもののカット経験のない人材の採用も積極的に行い、店舗復帰まで6カ月間にわたって研修を行うなど人材育成・教育にも力を入れています。コストをかけて人材育成に投資しており、自社で育てたスタイリストを引き留めるために待遇改善を続けることは長期的に見て会社にプラスになる施策かと思われます。

 人件費は客数に関わらずかかる固定費です。今までと同じように年10億円ずつ上がっていくと客数が増えないと利益を押し下げてしまう要因になります。しかし、1人のスタイリストが対応できるお客様の数にも限界があるので、値上げもやむなしという決断になったものと推測できます。