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台風21号で被害を受けた関西国際空港。損害はどこの会社が負担するのか?

運営会社「関西エアポート」と所有会社「新関西国際空港」の関係について

 4日に近畿地方を襲った台風21号により関西国際空港の多くの設備が浸水し、関西国際空港と泉佐野市を結ぶ連絡橋にタンカーが衝突するなど大きな被害が出ています。

 被害の全容はまだ明らかになっていませんが、損害はかなりの金額になることが予想されます。災害の影響を受ける会社はどこで、損害は誰が負担することになるのでしょうか。

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関西国際空港は所有会社と運営会社が異なる

 関西国際空港は2016年より「上下分離方式」という方法を採用しています。上下分離方式とは土地や設備の所有をする会社と実際に設備を運営をする会社を分ける仕組みのことで、鉄道会社が災害時の負担を軽減したい場合や、国や自治体が保有する施設の運営を民営化する場合などに活用されています。

 関西国際空港の場合、所有者が運営者に施設を貸して運営してもらうかわりに運営者は所有者に対して運営権の対価を支払う方式をとっています。

 

図:上下分離方式によるお金と資産のやり取り

 

 

 関西国際空港は実質的な国有企業である新関西国際空港株式会社とその子会社である関西国際空港土地保有株式会社が施設と土地を所有しています。

 また、オリックスやフランスの空港運営会社ヴァンシ・エアポートなどが株主の「関西エアポート株式会社」が2016年から2060年までの運営権を取得し、現在関西国際空港の運営を行い、毎年392億円+収益に連動した負担金を毎年新関西国際空港に支払っています。

 

図:関西国際空港の運営会社と所有会社

 

災害の負担は保険で対応。不可抗力による復旧は運営会社に負担の上限あり

 それでは今回の台風による損害を実際に負担するのは誰なのでしょうか。

 新関西国際空港株式会社は運営会社を募集する際に「関西国際空港及び大阪国際空港特定空港運営事業等募集要項」と「実施契約の概要」を公開し、運営会社と所有会社がどのような場合に損害の負担をするのかを示しています。

 一般的な設備の更新・投資は運営会社である関西エアポートが行うことになっていますが、不可抗力が発生した場合や災害が発生した場合の負担の方針は別に定められています。

・不可抗力が発生し両空港の施設に損害が生じた場合において、新関空会社と運営権者はその対
応方針について協議し、所定の方法に基づき、①実施契約を即時解除するか、又は②新関空会
社若しくは運営権者が両空港の機能を回復させるかいずれかの対応をとらなければならない。
その際、不可抗力に起因して、両空港の空港用施設について物理的損害が生じその損害からの
復旧に要する費用が 100 億円超(火災等については 350 億円超、放射能汚染については、運営
権者が第三者に対する損害賠償請求によって賠償を受けられないことが明らかな金額部分であ
って 10 億円超の部分。)である場合には、それらを超える金額については新関空会社が補償す
る。

・不可抗力により履行困難となった場合の措置として、運営権対価の支払期限の延長その他支払
スケジュールの変更が必要であると合理的に判断される場合には当該変更を行うものとし、そ
の変更内容については新関空会社と運営権者の間で協議の上で決定するものとする。

・災害に起因する損害については、運営権者が、運営権者の負担で、現在新関空会社が加入して
いる財産保険と同等の保険及びその他自ら付保することとしている保険等により対応すること
とする。

 

「関西国際空港及び大阪国際空港特定空港運営事業等 実施契約の概要」http://www.nkiac.co.jp/concession/content/pdf/content01.pdf

実際に締結された契約の条項が変わっていない場合、今回の台風による被害は

・災害による損害は保険で対応する

・不可抗力による損害の復旧費用は原則100億円以内が関西エアポート(運営会社)、100億円超が新関西国際空港(所有会社)の負担

の2つの条項が適用されることになりそうです。

 

連絡橋は運営会社・所有会社が異なる

 タンカーが衝突して損傷した連絡橋は、空港施設やターミナルとは所有者・運営者が異なります。道路と鉄道で所有者が異なっており、道路の部分は2009年に実質国有化され、国とNEXCO西日本が共同で所有、管理しています。鉄道の部分は新関西国際空港が所有し、JR西日本と南海電鉄が運営を行っています。

 連絡橋の運営の具体的な契約については不明な点が多いのですが、連絡橋の道路部分はNEXCO西日本が管理しているためNEXCO西日本が復旧させることになる可能性が高そうです。

 対して鉄道部分は新関西国際空港が第三種鉄道事業者として維持管理をしており、維持管理をしている会社が負担する場合が多いので保険の対応となると思われますが、それ以外の部分は所有会社である新関西国際空港が負担することになる可能性が高そうです。