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ケフィア事業振興会の破産と投資詐欺事件の歴史から学べること

豊田商事、平成電電、円天、安愚楽牧場・・・繰り返される歴史

 ヨーグルトの種菌や干し柿などの商品オーナーになれば高い利息をもらえると出資を募っていた株式会社ケフィア事業振興会が3日、東京地裁から破産手続き開始の決定を受けました。

 その内容は1口5万円のオーナーになると半年後に元本と4,000~5,000円の利息を受け取ることができるというもの。当初は元金や利息が支払われていたものの2017年11月頃から支払いが滞るようになり、被害額は1,000億円に達する可能性があるともいわれています。

 ケフィア事業振興会の件が詐欺事件として扱われるかはまだわかりませんが、日本では同じような高利回りをうたった投資詐欺事件が何度も発生しています。そこで、過去に起こった有名な投資詐欺事件をふりかえりながら被害にあわないための注意点を学んでいきます。

日本で起こった4つの有名な投資詐欺事件

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豊田商事事件

営業:1981年~
発覚:1985年
被害総額:約2,000億円

純金を売るが現物が存在しない「ペーパー商法」

 まずは昭和50年代に発生し、詐欺事件としては最大の被害額ともいわれている豊田商事事件を紹介します。

 豊田商事は表向き純金を販売する「貴金属の会社」でした。金は貴金属のなかでも換金がしやすく景気の影響を受けにくいため「安全資産」と考えられ、1980年代頃は投資家からの人気も高まっていました。

 そのような時代背景から、豊田商事は顧客に純金を販売する事業を行っていました。ただし、豊田商事のやりかたは普通の貴金属販売とは違います。現物の金を渡すのではなく、現物の金は豊田商事が預かるかわりに「純金ファミリー契約証券」という証券を渡し、現物の金の資産に加えて豊田商事が金を運用して毎年10%以上の利息も支払いますというものでした。

 しかし、実際には豊田商事は金を買い付けていません。つまり、豊田商事は顧客が金を買ったと思い込んでいるお金を丸々奪ってそこから利息を出し、顧客は証券を持つことで金を持ってしかも勝手に運用してもらっていると思い込んでいたのです。証明する書類を渡しているのに実物は存在しない「ペーパー商法」と呼ばれる手法です。

 有名企業の関係会社だと誤解させるために「豊田商事」や「鹿島商事」といった会社名をつけ、電話と訪問販売によるセールスを行っていました。また、テレビCMも放映しており、投資家を信頼させていました。

 1985年に捜査が本格化し社会問題となる中、テレビ中継中の報道陣の前で社長が殺害される事件も発生しました。その翌月に豊田商事は破産。顧客から集めた資金はほとんどが会社の運営資金や社長個人の損失穴埋めなどに消えていたといわれています。

 

平成電電

営業:2002年~
発覚:2005年
被害総額:約500億円

高速インターネット普及の波に乗った投資詐欺

 ナローバンドと呼ばれる遅い回線が中心だったインターネットの世界に、ブロードバンドと呼ばれる高速インターネット回線が普及し始めた2002年頃。Yahooがブロードバンド初期のADSLモデムを無料で配るなど通信業界にも大きなインパクトを与えていました。

 そのような時代の流れに乗って登場した投資詐欺が平成電電事件です。

 「ADSLモデムオーナー」として1口1,000万円で平成電電からADSLモデムを買い、平成電電の通信子会社に貸すことで毎月27万円強を5年間受け取ることができるという仕組みで、実質年利26.4%をうたって出資を募っていました。

 その後、平成電電が運営する電話回線から得られる利益を得られるとした「平成電話パートナーシステム」も同じような方法で投資家を集め、約1万9,000人から500億円近くの資金を集めました。

 平成電電は2005年に経営破たんし、民事再生法の適用を申請しました。しかし民事再生法の申請後に手をあげたスポンサーの撤退もあり最終的に破産。2007年に元社長などが逮捕され、有罪判決を受けています。

 この事件は投資者の視点で見ると他の事件と少し性格が異なります。

 というのも、平成電電はNTTの通話料金を下回る通話料金で実際に電話回線サービスを提供しており、はっきりとした事業の実態があったのです。電話回線の広告を積極的に展開しており、他の事件よりも詐欺に気づくのは難しかったということができます。

 なお、テレビ電話の通信事業を行っていた「近未来通信」も平成電電と同じ時期に同じような仕組みでオーナーを募集し、テレビCMや広告を積極的に展開していました。近未来通信は平成電電破たんの翌年に倒産。テレビ電話の事業は実際に行われていましたが実態はほとんどなく、被害総額は200億円ほどといわれています。まだSkypeが登場したてでLINEも存在しない時期。テレビ電話がまさに「近未来」のものとして考えられていたことが時代を感じさせます。

 

円天(エル・アンドジー)

営業:2000年頃~
発覚:2007年
被害総額:約1,200億円

マルチまがい商法から電子マネー「円天」詐欺へ

 エルアンドジーはもともと健康食品などの販売を行う会社で、マルチ商法と同じ手法(会員が別の会員を紹介していく方法)を行っている会社でした。2001年頃から電子マネー「円天」構想を実現することを名目に同じ販売方法で1口100万円の協力金を募集。その対価として3か月ごとに9万円を受け取れることをうたい文句に出資者を増やしていきました。

 エルアンドジーは多くの芸能人を広告塔として利用し、有名ホテルでコンサートを開くなどの方法で客寄せをし、見物に訪れた人などを中心に勧誘を行い出資者を増やしていきました。

 2007年1月に配当の支払いが円から円天に変わり、その後円天の配当も滞ったことで問題が表面化。同年11月にエルアンドジーは破産し、2008年に社長が逮捕、有罪判決を受けています。

 

安愚楽牧場

営業:1995年頃~
発覚:2011年
被害総額:約4,200億円

国会議員も広告塔になった和牛オーナー詐欺

 安愚楽牧場は和牛のメス牛のオーナーになり、生まれた牛を安愚楽牧場が買い取ることで毎年数%~十数%の配当が得られることをうたい文句に出資を募り、7万人以上のオーナーが出資したといわれています。しかし2011年に経営破たん。経営破たんの後、既存の出資者に対する配当に新たな出資者から受け取ったお金を使用し自転車操業に陥っていたことや、契約していた牛の頭数に対して実際の牛の頭数は3分の2程度しかいなかったことが明らかとなりました。

 社長は破産後の2013年に虚偽の説明で出資者を勧誘したとして逮捕。事業実態があることから詐欺罪では不起訴となりましたが、特定商品預託法違反で有罪となりました。

 この事件では国会議員が当選前に書籍や雑誌などで投資を推奨していたことやマネー誌などのさまざまな雑誌で取り上げられていたことも問題となりました。

投資詐欺事件から身を守るためにどうすればよいか

 それでは、このような投資詐欺事件にあわないためにはどうすればよいでしょうか。過去の歴史から5つの教訓が得られると考えます。

1.元本保証の高利回り商品はまず疑う

  • 高い利率はそれ相応のリスクを伴います。安全な儲け話はほとんど存在しません。
  • 元本保証で高利率の商品は存在しないものと心得ましょう。

2.広告や実物があるから信用できるわけではない

  • 大々的にテレビCMや新聞広告をしている会社も終わってみれば詐欺だった事例が少なくありません。
  • 広告があるから信用できるのではなく、まず疑ってみましょう。詐欺師は人を信用させるプロだと心得ましょう。
  • 実物があるから信用できるわけでもありません。信用させるための「見せ物」である可能性を疑いましょう。

3.自分は助かると思ってはいけない

  • 営業開始から問題発覚まで時間差はありますが、「危ない予兆が出たら解約すればいい」と思っても実際に危なくなったらあらゆる方法でお金を返さない理由を突き付けてきます。
  • 自分に話がきたときはもう危なくなっていると思うべきです。
  • 過去の投資詐欺事件は、自転車操業で資金ショートする例が多い。投資を考えるときは「元本が0になったら?」と考えましょう。

4.高齢者がターゲットになりやすいが、若い人も注意しないといけない

  • お金を持つ高齢者はターゲットになりやすい。自分だけでなく、親がだまされていないかも気にかけておきましょう。
  • しかし、引っかかるのは高齢者だけではありません。20代などの若者も被害にあっている事例があります。

5.少額投資して信頼させ、大きい金額を誘い込む

  • 少額投資して問題なく配当があっても、それは信用できることを意味しません。実際に多くの投資詐欺で小さい金額を投資させて信用させ、大きな金額を投資させる手法が行われています。

 

 投資詐欺の歴史と身を守るための心構えを紹介しました。現代でも投資詐欺事件は多数発生しています。広告や営業マンのいうことを鵜吞みにせず、怪しくないかを自分で考える、第三者に相談することが投資詐欺に対する最大の予防策になります。