広告

日本ボクシング連盟の山根会長が辞任。そもそも一般社団法人の「終身会長」って大丈夫なの?

一般社団法人の法律と日本ボクシング連盟の定款を確認してみる

日本ボクシング連盟の山根明会長が辞任を表明しました。山根会長は2012年10月より日本ボクシング連盟の終身会長となっていますが、「終身会長」は制度的にOKなのでしょうか?

広告

会社と社団法人・財団法人の違いとは?

 日本ボクシング連盟は「一般社団法人」という組織形態をとっています。また、似たような組織として財団法人という言葉を耳にしたことがある人も多いかもしれません。

 会社と社団法人・財団法人の違いはその組織が「営利法人」であるかそうでないかという部分に集約されます。営利法人というのは利益を上げるという意味ではなく、上げた利益を配当などの形で株主などに分配できるかどうかという意味です。

 つまり、会社は配当金や分配金という形で株主(株式会社の場合)や社員(合同会社など)にあがった利益を渡すことができます。対して社団法人や財団法人はどれだけ利益があがっても、配当・分配という形で出資者や理事に還元することはできません。

 また、これも勘違いされやすいのですが、社団法人・財団法人は会社と比べて税金が安くなるわけではありません。一般社団法人や一般財団法人が公益目的事業を行っているほか様々な条件を満たして公益法人になるための申請をし、国や都道府県に認定された公益社団法人、公益財団法人だけが税制の優遇を得ることができます。

 

 

一般社団法人の理事には法律で決められた任期がある

 日本ボクシング連盟が一般社団法人であることは先に触れたとおりですが、一般社団法人や一般財団法人の組織などを定めた法律「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」で以下のように理事の任期が決められています。

第六十六条 理事の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までとする。ただし、定款又は社員総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。

つまり、理事の任期はどれだけ長くても2年までしか認められないことになります。

日本ボクシング連盟の会長が理事であるは定款で確認できる

 日本ボクシング連盟はインターネット上に法人のルールである定款を公開しています

 定款の第20条を見てみると、会長は日本ボクシング連盟の理事であり、日本ボクシング連盟を代表する代表理事であることが確認できます。

2 理事のうち、1名を会長、3名を副会長、1名を専務理事、8名以内を常務理事とする。
3 前項の会長をもって一般法人法上の代表理事とし、副会長、専務理事及び常務理事をもって同法第91条第1項第2号の業務執行理事とする。

(出典:「一般社団法人日本ボクシング連盟定款第20条第2項、第3項」)

  さらに、定款の第24条には以下のような記述があります。

理事及び監事の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時総会の終結の時までとする。

(出典:「一般社団法人日本ボクシング連盟定款第24条」)

 つまり、法律だけでなく社団法人のルール上でも、会長の資格を満たす理事の任期は2年間と決められているのです。

 一般社団法人は社員総会によって理事を選ぶため、2年に1度の社員総会で理事の選任が拒否されると、いくら終身会長を名乗っていたとしても会長職にとどまることはできません。また、社員総会でいつでも解任できるため、「終身会長」に終身を確約する法律上の根拠は全くないことが分かります。

今後のボクシング連盟にとって気になる条文が

 今回の騒動を受けて日本ボクシング連盟に所属する多くの理事が辞任するのではないかという報道がされていますが、本当に多くの理事が辞任したときに気になる条文を定款から見つけました。

 この法人に、次の役員を置く。
  (1)理事 20名以上30名以内
  (2)監事 2名以上3名以内 

 理事又は監事は、第20条に定める定数に足りなくなるときには、任期の満了又は辞任により退任した後も、新たに選任された者が就任するまで、なお理事又は監事としての権利義務を有する。

 (出典:「一般社団法人日本ボクシング連盟定款第20条、第24条第4項」)

 つまり、現在30名いる理事のうち11名以上が辞職してしまうと、辞職した理事は次の理事が選任されるまで引き続き理事としての権利義務を持ち、正式に退任することができません。

 また、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」では代表理事を勤める人がいない場合のルールを以下のように定めています。

第七十九条 代表理事が欠けた場合又は定款で定めた代表理事の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した代表理事は、新たに選定された代表理事(次項の一時代表理事の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお代表理事としての権利義務を有する。
2 前項に規定する場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時代表理事の職務を行うべき者を選任することができる。

 山根会長の後任が決まらない場合は、次の代表理事が決まるまで山根会長が代表理事としての権利義務を持つことになります。辞任を表明したあとも後任の会長・理事探しが大変になりそうです。